派遣社員の待遇改善に関する最新制度について(2025年版)
派遣スタッフの待遇は、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかで決まります。これは、2020年施行の「同一労働同一賃金」関連法に基づき、派遣労働者の不合理な待遇差をなくすための仕組みです。

派遣労働の多くは期間の定めのある「有期労働契約」です。例えば登録型派遣は、派遣労働者が派遣元に登録のみをしておき、派遣先が決まったら派遣元と派遣労働者が有期雇用契約を結ぶスタイルです。派遣労働者は派遣元から就業先に派遣され、派遣先での仕事が終了したら派遣元との有期労働契約も終了となります。
登録型の派遣では、1年間など期限を決めた有期労働契約をまず結び、1年経って派遣労働者に継続してもう1年働いてほしい場合は、契約を更新して次の1年の労働契約を結ぶ…と言った形式が採られることが多くあります。更新を繰り返していけば何年でも働けるのですが、現実には更新が行われないこともあり、派遣労働者の雇用状態は常に不安定な状態のままです。
正社員のように何年も働いてきたのにいつ雇止めになるかわからない不安の中で働く有期労働者を労働の実態に即した無期労働者に変更し、雇用の安定を図るために制定されたのが「無期転換ルール」です。一定の条件を満たした有期労働者が希望すれば、期間の定めのある労働契約ではなく期間の定めのない労働契約を締結できるというのが「無期転換ルール」の趣旨です。派遣労働者の有期労働契約が無期労働契約に転換されるため、雇用の安定化に役立つとされています。
無期転換ルールの根拠は労働契約法に記載されています。
その内容を見ていきましょう。
労働契約法は2008年に施工された法律です。労働者と使用者では基本的に使用者の方が強い立場にいるので、労働者を保護し、労働関係を安定させる目的でこの法律が作られました。労働契約法には労働契約の原則である「労使対等の原則」や「仕事と生活の調和への配慮の原則」「権利濫用の禁止の原則」などが記載されており、労働者にとって重要な労働契約の継続や終了、出向・懲戒・解雇に関する決まりも書かれています。有期労働契約についての労働契約法にあり、契約期間中はやむを得ない事由がなければ解雇できないことなどが定められています。
労働契約法は2013年に改正されました。この改正によって、有期労働契約が5年を超えて反復して更新された労働者は契約の相手方である企業に対し、期間の定めのない無期労働契約への転換を求めることができるようになりました。派遣社員の場合、契約を締結している相手は派遣元企業なので、派遣会社と無期労働契約を締結できることになります。このとき、企業側は労働者からの申し出を拒否できません。
通常「無期転換」と言った場合は、労働契約法で定められたこのルールのことを指します。この決まりは派遣社員だけでなく、パートやアルバイトなどの名称を問わず有期労働契約によって働く労働者に対して適用されます。注意しなければならないのが「有期労働契約が5年を超えて反復して更新された」という部分です。1年契約を繰り返してきた人の場合、5回目の更新の後に無期労働契約への転換を求めることができます。5回目の更新によって新しく1年契約を締結するため、実際に無期労働契約に転換するのはその契約期間を満了する1年後からです。つまり最初の契約から起算すると6年目から無期労働契約に転換することになります。
一方3年契約の場合、最初の更新をするともう3年、通算で6年働くことになるので「有期労働契約5年を超えて反復して更新された」ことになり、希望すれば更新した契約期間満了後に無期労働契約に転換できます。実際に5年間働いたかどうかではなく、「有期労働契約が5年を超えるかどうか」で判断されるのです。

労働者派遣法にも無期転換に似たような定めがあるため、その内容を紹介していきます。
労働者派遣法は1986年に施行されました。この法律は派遣労働者の就業条件の整備や労働現場での権利を確保するために作られました。派遣労働者の立場や福利厚生を守るため、時代に合わせて数回改正されています。2015年の改正では雇用安定措置が定められ、その一部に有期労働契約から無期雇用へ転換を促す規定が盛り込まれました。
改正された労働者派遣法では、同じ組織で派遣社員が働ける期間の上限が3年になっています。3年目以降の処遇について、派遣元は有期労働者に以下のいずれかの雇用安定措置を行う義務が課せられることになりました。
派遣元はまず1の措置を講じ、それが実現しなかった場合は2~4のいずれかの措置を講じなければなりません。
ただし、4については「雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣等、省令で定めるもの」と定められています。そうしなければ適当な措置をしてしまう業者がいないとも限らないからです。もし3の規定が実施されれば、派遣社員は派遣元に無期雇用されるので雇用状態は安定します。結果として労働契約法による無期転換と似たような形になるのです。
無期転換にはメリットとデメリットがあります。
まずはメリットを紹介します。
有期労働契約の場合は契約の終了とともに仕事がなくなってしまいますが、無期転換をすれば派遣元に無期雇用されるので雇用に関する不安がなくなります。契約期間を気にしなくて済むのは精神的にもプラスに働きます。
無期雇用された場合、通常の派遣に多い時給や日給ではなく月給制となることが基本です。時給や日給だと年末年始やゴールデンウィークなどに収入が減りますが、月給制ならば安心です。また、交通費の支給があったり諸手当がもらえたりすることもあります。さらに無期雇用された場合、就業先が決まらない期間中は休業補償を受け取ることが可能です。
労働者派遣法では同一の派遣先で働ける期間の上限を3年と定めています。厳密に言えば同一の派遣先で働くことはできるのですが、例えばある会社の経理課で3年働いたとしたら、それ以降は人事課など他の課や組織に移らなければなりません。しかし無期雇用派遣の場合はこのルールが適用されず、派遣元と派遣先の契約が続く限り働くことができます。労働者は慣れた仕事を続けていけますし、それによってキャリアも形成できるというメリットがあります。
デメリットを知っておかないと、無期転換してから「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうかもしれません。ある意味ではメリット以上に重要なポイントなので、しっかりと押さえてください。
無期転換後は派遣会社に雇用されることになるため、派遣先へは派遣会社からの業務命令として派遣されます。業務命令である以上、派遣先を労働者が選ぶことは非常に難しくなります。通勤時間が長くなることもあれば、人間関係の相性が合わない職場に移ることもあるでしょう。
派遣で働く人の中には、週3日程度働いて残りの日は別のことをするライフスタイルを好んでいる人もいます。そもそも労働者派遣法が成立した当時も「多様な働き方ができる」と歓迎され、働き方を選べるというメリットが喧伝されました。しかし無期転換後は派遣会社の業務命令に従わなければならないので、自分の裁量で働き方を選べないこともあり、週5日働くことも受け入れる必要があります。
無期転換すると必ず収入がアップすると誤解している人がいますが、それは間違いです。有期労働契約で働いていたときと変わらない可能性もあります。雇用の安定と収入の上昇は別の問題ということを忘れないようにしてください。
無期転換後の雇用条件は会社が設定することができるため、会社によって制度が変わります。例えば労働条件を変えずに契約期間のみを無期に変更する会社もあれば、正社員に転換させるという会社もあるでしょう。自分が無期転換をしたらどのような待遇になるのか事前にしっかり確認しておく必要があります。
派遣スタッフの待遇は、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかで決まります。これは、2020年施行の「同一労働同一賃金」関連法に基づき、派遣労働者の不合理な待遇差をなくすための仕組みです。
派遣社員の多くは派遣元企業で健康保険に加入しています。 派遣社員として働いている間は、健康保険料の半額を給与から天引される形で負担し、 残りの半額を派遣元企業が負担する仕組みです。
派遣社員として働く場合でも、一定の条件を満たしていれば、 派遣元(派遣会社)を通じて健康保険および厚生年金保険に加入します。 雇用形態が派遣であることを理由に、 社会保険に加入できないということはありません。