派遣社員の育児休暇について

派遣社員の育児休暇について

育児休業(育休)の概要

育児休業は、育児を行う労働者が休業できる制度です。1991年に制定された育児介護休業法という法律で定められています。対象になるのは1歳未満の子どもを育てている労働者です。入所できる保育所が見つからないなどの事情がある場合には、子どもが1歳6ヶ月になるまで延長することもできます。また法改正により2017年10月以降は、さらに延長が拡大されました。これにより、子どもが1歳6ヶ月になっても保育所に入れないような場合には、2歳になるまで再延長することができます。育児休業の制度が創設される前までは、女性労働者は結婚して子どもができると退職するのが一般的でした。これにより女性が社会で活躍しにくい状態にあったため、育児休業の制度が作られたのです。

育児休業を取得することで、子どもが生まれても仕事を辞めないで済み、育児休業が終わった後は職場に復帰できます。そして、育児休業を取得中に雇用保険から支給されるのが育児休業給付金です。これにより収入が途絶えることなく、安心して育児休業を取得できます。また、男性も女性と同様に育児休業を取得できます。ただし、女性の育児休業取得率が83.2パーセントであるのに対して、男性は5.14パーセントしかありません。女性は1990年代半ばまでは50パーセント以下の水準でしたが、2000年代後半まで右肩上がりで伸びました。2000年代後半以降は、80パーセントから90パーセントの範囲で横ばいの状態です。

 

派遣社員でも育休は取得できるのか

育児介護休業法では、育児休業の対象を雇用形態で限定する旨の規定はありません。そのため、正社員として働いている労働者だけでなく、非正規雇用の労働者も対象になります。もちろん派遣社員も育児休業を取得可能です。ただし、雇用形態以外に規定されている条件があるため、それに合致していなければなりません。その条件は以下の通りです。

1年以上継続して同一の企業に雇用されている場合

育児休業を取得するには、少なくとも1年は同じ企業に継続勤務していなければなりません。派遣社員の場合には、雇用主は派遣元企業であるため派遣元企業を基準にして考えます。現在の派遣先企業で働くようになってから1年未満でも、派遣元企業で1年以上継続して雇用されていれば、育児休業を取得可能です。また、大きな連休を挟んで契約期間が分かれているような場合でも、実質的に継続しているかどうかで判断されます。

雇用期間終了が明らかでない場合

育児休業は職場に復帰することを前提としている制度です。そのため、雇用期間がすぐに終了してしまう場合には利用できません。具体的な基準は、子どもが1歳6ヶ月に達するまで雇用関係が続くかどうかです。子どもが1歳6ヶ月になる前までに労働契約が終了し、更新の見込みもない場合には、育児休業の対象外として扱われます。ただ、派遣社員の場合には更新されるかどうかがまだはっきりと分からないというケースも少なくありません。更新される可能性も残っているのであれば、育児休業の対象として扱われます。更新されないことが確実な場合のみ育児休業の対象外という扱いです。ここでの更新の可能性の有無は、主に就業規則や労働契約を元に判断します。もともと更新を前提としない労働契約であった場合や、更新回数の上限に達している場合には、育児休業は取得できません。

 

育児休業給付金を受給する条件

育児休業中の期間は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。その条件として、育児休業を取得できる条件に加えて、雇用保険の被保険者期間に関する条件も満たさなければなりません。過去2年間のうち、被保険者期間が12ヶ月以上あることです。ただし、賃金支払基礎日数が11日未満の月はこの12ヶ月に含めません。そして12ヶ月を数えるときの1ヶ月間は、育児休業を開始する日の前日から遡って区切ります。

例えば2月10日から育児休業を開始するのであれば、1月10日から2月9日までが1区切り、前年の12月10日から1月9日までがその前の1区切りです。賃金支払基礎日数というのは、給与形態により数え方が異なります。完全月給制の場合には月の日数をそのまま用います。派遣社員によく見られる日給月給制や日給制、時給制などの場合には出勤した日数です。労働した時間は関係ありません。有給休暇を取得した日がある場合には出勤日に含めて数えます。正社員と出勤日がほぼ同じであれば、1ヶ月間に賃金支払基礎日数が11日を下回ることはほとんどありません。しかし所定労働日数が少なめで欠勤などがあると、11日を下回る月も出る可能性があります。

 

派遣社員が育休を取得・申請するメリット、デメリット

派遣社員が育休を取得・申請するメリット、デメリット

経済的なメリット

育児休業を取得すると、上の章で説明した通り、一定の条件の下で育児休業給付金が支給されるのが大きなメリットです。育児休業中は会社からの給料はもらえませんが、育児休業給付金があることで収入が絶たれずに済みます。育児休業給付金は非課税であるため、他に収入がなければ所得税はゼロになるので、経済的に助かります。

また社会保険料が免除されることも経済的なメリットのうちの1つです。これまで給与から天引きされる形で支払っていた厚生年金保険料と健康保険料を支払わずに済みます。なおかつこれまで通り厚生年金と健康保険に加入した状態でいられるため、将来の年金受給額が減ることもありません。健康保険証もこれまでと同じように使用できます。

仕事を辞めなくて済む

出産を機に仕事を辞めてしまうと再就職が大変です。子どもが少し大きくなってから、求人を探して応募をして面接を受けに行かなければなりません。なかなか採用されずに長引くケースも多いです。しかし、育児休業を取得して復帰するのであれば、育児休業の期間が終わった後に、同じ派遣会社で働けます。派遣会社にもよりますが、育児休業から復帰してすぐに働けるように派遣先企業を見つけてくれることも多いです。

これまでと同じ派遣先に戻れる可能性が低い

派遣社員の場合には、育児休業の期間が終わった後に同じ派遣先に戻れるとは限りません。育児休業前に働いていた派遣先企業では、人員が1人足りなくなるため、新しい人を派遣してもらうケースが多いです。自分が育児休業から復帰したときに、その派遣先企業で人員が間に合っていれば、他の派遣先で就業することになるでしょう。また、派遣先企業が変わるだけでなく、復帰そのものが難しくなるケースもあります。育児休業は復帰を前提として成り立つ制度ですが、時間が経てば状況は変化するため必ず復帰できるとは限りません。

取得可能かどうかが直前まで分からない場合もあり

派遣社員は育児休業を取得できる条件を満たすかどうかが、ギリギリまで分からない場合もあります。契約を短い期間で更新して働いているため、次に契約が更新されれば育児休業を取得できるというケースも多いです。契約更新が決まる前までは、育児休業を取得できるかどうかがはっきりと分かりません。また、妊娠中は産休に入る前の時期でも、つわりなどが酷くなることもあります。場合によっては通常通り就業するのが困難で、休まざるをえないこともあるでしょう。定期的に通院もしなければなりません。休む日が多いと、賃金支払基礎日数が11日未満の月も出てくるでしょう。

その影響で、育児休業を取得できる条件から外れてしまう可能性もあります。育児休業を取得できるかどうかがはっきりしない状態で、勤務を続けるのは大きなストレスです。つわりが酷い状態で取得条件を満たすために無理をして就業することで、母体に悪影響を与えてしまうこともあります。

 

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